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牧田寛氏の論考と現実との大きなギャップ《日韓レーダー照射問題2》 [北海道大停電]

前回の続きです。

牧田寛氏のその後の記事は次のとおりです。

2018.01.30 レーダー照射問題、日韓双方の発表をとことん突き詰めてわかる8つの「ファクト」と「フェイク」

hbol-makita0130.JPG

ここでも、牧田氏の事実誤認について触れるだけにします。

さて、最も重要な論点である「火器管制レーダー照射」ですが、牧田氏は次のように書いています。
正確を期すために少々長く引用します。

 第六に、インシデントの核心である電探照射ですが、韓国、日本双方の公式発表と、日本側公表の映像からイルミネーター照射でないことは自明です。インシデント発生直後から「イルミネーターである」、「ロックオンである」、「引き金をまさに引く寸前である」といった防衛省、官邸への寄生者や政治業者などの発言はすべて嘘か、無知による根本的な誤りです。そして、それらの嘘や誤りをもとにしたデマゴギーです。

 防衛省は2018/12/21の最初の公式発表から、「火器管制レーダーを照射された」というたいへんに短い情報でこの点では一貫しており、2018/12/25岩屋毅防衛大臣記者会見でも記者からの質問に対して詳細は答えていません。

 また、2018/12/21記者会見では、本インシデントについて一切の言及がありませんでした。岩屋防衛大臣による言及は、前述したとおり12/21の夜でした。イルミネーター照射であったなら、このような悠長なことをするとは考えられません。なお、防衛省が問題とする電探照射がSTIRによるものであると公式に表明したのは2019/01/21の最終報告によってであり、日本政府はその後の日韓協議を一方的に取りやめましたので検証は不可能です。

 P-1乗組員の会話を映像で読み解く限り、戦術士は機長に「FC系レーダー波を探知」と報告していますが、それが何によるものか、何であるのかを確認していません。具体的にはイルミネーターか否か、射撃電探か、機種はなにか(この場合STIR-180、MW-08、ゴールキーパーCIWSが対象)を確認している様子がありません。また、機長はイルミネーター照射警報(レーダー警報)でなく戦術士からの報告ではじめて「FC系レーダー」で照射されていることを認識しています。これからもイルミネーター照射でないことは確実と言えます。

上の文章によると、防衛省は当初から、「火器管制レーダーを照射された」と発表しています。
しかし、牧田氏の見解では、これは「イルミネーター照射ではない」そうです。
つまり、彼によると「火器管制レーダー」と「イルミネーター」は別物であるということになります。

では、火器管制レーダーとは具体的に何を指すのでしょう?

韓国の駆逐艦「広開土大王」に搭載されているレーダーは次のとおりです(韓国海洋警察の三景号にはレーダーはありません)。

早期警戒用 AN/SPS-49(v)5 1基
目標捕捉用 MW-08 1基
対水上捜索用 SPS-95K 1基
射撃指揮用 STIR-180 2基

このうち、火器管制レーダーは、韓国側(=牧田
氏)の定義ではMW-08とSTIR-180の2種類あります。ただし、前者のMW-08は日本側の定義では「火器管制レーダー」ではありません。
CUES上の「火器管制レーダー」にMW-08は含まれるか

念のため、製造元のTHALES社のサイトを調べてみました。

MW-08 The MW08 is an all-weather G-band (C-band) 3-D medium-range surveillance and target acquisition radar based on the same techniques as SMART-S. →火器管制レーダー(FC radar or illumination radar)とは書いていない

mw-0.JPG

STIR-180 STIR is a medium-to-long range tracking and illumination radar system. →はっきり火器管制レーダー(illumination radar)と書いてある

stir-180.JPG

つまり、日本側もメーカーの定義も、はっきりと「火器管制レーダー」=「イルミネーター」=「STIR-180」≠「MW-08」ということになります。
牧田氏は、メーカーが発表しているスペックは調べなかったのでしょうか?


同じことが、1月21日の記事

2019.01.21 レーダー照射問題、韓国国防部ブリーフィング全文訳からわかる、日本に跋扈するデマの「曲解の手法」

にもあります。少々長いのですが、関係部分を全部引用しておきます。

フェイクニュース1) 韓国の電探照射に関する説明は二転三転している

 まず、12月21日に以下の報道が出ます。

“韓国国防部は21日、記者団に「わが軍は正常的な作戦活動中だった。作戦活動の際にレーダーを運用したが、日本の海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない」と明らかにした。”(参照:“海自機に射撃レーダー照射 「追跡の目的ではない」=韓国国防部” 聯合ニュース2018/12/21

 その後、次の報道が出ます。

“韓国海軍の艦艇が20日、東海上で日本の海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題で、艦艇は遭難した北朝鮮の漁船を捜索するため、接近していた哨戒機に向けて映像撮影用の光学カメラを使用していたことが23日、わかった。光学カメラを使う際、追跡レーダー(STIR)が共に作動されるが、哨戒機にビームは照射しなかったという。”(参照:“日本哨戒機接近し撮影用光学カメラ稼働 ビーム放射はせず=韓国軍” 聯合ニュース2018/12/23

 この報道ではSTIR-180での照射を日本側が指摘しているが、実際にはMW-08を使っており、STIR-180は電波を発していないと具体的に機種名まで示しています。一方で日本側(防衛省)は一貫してレーダーの機種を示していません。韓国側の説明は、「MW-08を運用していたが、STIR-180は運用していない」という主張で一貫しています。

実は、牧野氏が意図的に省略したのかどうかわかりませんが、上の聯合ニュースの2018年12月21日と12月23日の記事の間には、12月22日の記事があります。

2018.12.22 10:01 北朝鮮漁船救助の際に日本哨戒機へ火器管制レーダー照射=韓国軍

 韓国軍の消息筋は「漂流中だった北の漁船が近くの船舶に救助信号を送り、わが軍が海軍駆逐艦(広開土大王・3200トン)を派遣し、救助作業を行った」と述べた。また、「出動した駆逐艦は遭難した北の船舶を迅速に見つけるため火器管制レーダーを含むすべてのレーダーを稼働し、この際、近くの上空を飛行していた日本の海上哨戒機に照射された」と説明した。

 韓国軍は日本当局の抗議を受け、北朝鮮の漁船を救助する際に火器管制レーダーを作動させたと解明したようだ。岩屋毅防衛相は21日に記者会見を開き、「極めて危険な行為だ」として韓国側に抗議し、再発防止を求めたと明らかにした。

不思議なことに、12月22日のこの記事によると、韓国側は日本側の「STIR-180から照射された」という指摘が間違いだとは主張していません。

これら3本の聯合ニュースの記事を時系列順に並べると、

12月21日 作戦活動の際にレーダーを運用したが、日本の海上哨戒機を追跡する目的で運用した事実はない
12月22日 火器管制レーダーを含むすべてのレーダーを稼働し、この際、近くの上空を飛行していた日本の海上哨戒機に[STIR-180から]照射された
12月23日 光学カメラを使う際、追跡レーダー(STIR[-180])が共に作動されるが、哨戒機にビームは照射しなかった

そうだとするなら、普通は「韓国の電探照射に関する説明は二転三転している」と言うのではないのでしょうか?

私が不思議に思うのは、なぜ牧野氏は“素人”がちょっと調べただけで簡単に否定されてしまう記事を書いてしまうのかです…。
確かに、彼は原子力でもこんな感じでした…。[たらーっ(汗)]


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