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よい教育とは何か 構造構成主義研究5《続》 [疑似科学とされるものの科学性評定サイト]

前回の続きです。


よい教育とは何か 構造構成主義研究5

よい教育とは何か 構造構成主義研究5

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2011/04
  • メディア: 単行本

「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」の血液型性格診断で紹介された↑の本の感想です。
○血液型性格診断
[http://www.sciencecomlabo.jp/fortune-telling/blood_type.html]

基本的に投稿内容をそのまま掲載しますが、So-netブログで読みやすいように、かなり改行を追加しています。
※なお、現時点ではまだ掲載されていません。

「心理学は何故、血液型性格関連説を受け入れ難いのか―学会誌査読コメントをテクストとした質的研究―」は非常に示唆に富む論文ですので、細かい点までコメントすると膨大な量になってしまいます。そこで、本当に重点を絞ってお話しすることにします。

さて、この論文の最大で問題と思われるのは、方法論を心理学に限ってしまっていることにあると思います。なぜなら、心理学にこだわらなければ、既存の統計データを説明するのはそれほど難しいことではないからです。
素直にデータを読めばいいのです。

まず1点目です。
p95には「1.調査結果は血液型ステレオタイプを反映した結果なのか」とあります。結論から言うと、調査結果には必ず「血液型ステレオタイプ」が反映されます。
例えば、1986年のNHK世論調査(無作為抽出の首都圏15~69歳の住民1,102名)では「血液型と人の性格は関係ありそうだ」という質問に対して、75%が「そう思う」と回答しています(この割合は、日本でも韓国でも台湾でも、過去でも現在でもほぼ一定です)。

当然のことながら、現実の「自己認知」の調査結果もそうなっています。
例えば、このサイトの参考文献でも、約3000人×11年で「統計的な有意差が出た」との結論です。
This indicates that blood-typical personality stereotypes actually influenced the personalities...
このことは、血液型ステレオタイプは現実に個人の性格に影響していることを示している...
「Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy」Sakamoto, A., Yamazaki, K.(2004)
しつこいようですが、前回の投稿から再掲します。
「血液型ステレオタイプ」はここ何十年も日本に存在しているので、そういう質問をすれば必ず結果に差が出るはずです。
つまり「血液型ステレオタイプ」に関する調査なら、差が出ないのは調査結果が間違っている、ということです。言い換えれば、血液型に関する調査なら、どんな調査でも差が出ないとおかしいし、差が出ていないなら調査自体に欠陥があると言うしかありません!
これで、差が出るかどうかは解決です。
なお、過去に同じ議論をkikulog(管理者:大阪大学菊池誠氏)で行ったところ、最終的に私の上の意見に同意する人が多く、特に目立った反論はありませんでした。もっとも、管理者自身は最後まで「回答拒否」でした。

2点目に移ります。「血液型ステレオタイプ」ではなく、心理学の「性格検査」による調査では、明確に統計データに差が出ていない場合も少なくありません。この理由も簡単です。再度過去の投稿から再掲します。
Sung Il Ryu, Young Woo Sohn (2007). A Review of Sociocultural, Behavioral, Biochemical Analyses on ABO Blood-Groups Typology, Korean Journal of Social and Personality Psychology, 21(3), 27-55.
この論文では、「Big-Five Factor モデルを活用した研究では、すべて血液型と性格は関係がないという結論が下された(So Hyun Cho, 2005; Cramer, 2002; Rogers, 2003; Kunher, 2005)」
とあります。しかし、詳しく調べてみたところ、
So Hyun Choなど(2005)から該当の研究の調査データの提供を受け、個別の質問項目に対してデータを再分析してみた/データを質問項目別に再分析してみた結果、10個の質問項目で有意な血液型との関係が発見された/このように、実際に血液型による差が存在するにもかかわらず Big-Five モデルはそれを感知することができないという事実が確認された。
と結ばれています。
つまり、個々の「血液型ステレオタイプ」の質問では差が出ていたものが、結果を5因子に集約する過程で差が相殺され消滅・減少したためということになります。
なお、So Hyun Cho (2005)の論文では、調査対象者に「血液型ステレオタイプ」があることは確認済みなので、差が出ないのは明らかにおかしいのです。

長くなったので、もう少し詳しい検討と、5節にある査読者の反応については次回にしようと思います。

【以下は予定稿】

ところで、統計データの差はあくまで「見かけ上」のもので、本当は差がないのだという有力な反論も存在します。これらの差は「自己成就現象」や「思い込み」によるものだというのです(代表は聖徳大学の山岡重行氏)。

この論点については、最近まで決着がつかなかったのですが、昨年出版された金澤正由樹氏の『統計でわかる血液型人間学入門』が一石を投じました。

統計でわかる 血液型人間学入門

統計でわかる 血液型人間学入門

  • 作者: 金澤 正由樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
  • 発売日: 2014/07/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

しつこいようですが、過去の投稿を再掲します。
金澤氏は、その血液型特性が知られている割合と、データの差の大きさの関係に着目しました。仮に、血液型による統計データの差が「自己成就現象」や「思い込み」によるものなら、その特性が知られていればいるほど差が大きくなるはずです。逆に、ほとんど知られていない特性なら、「自己成就」や「思い込み」は小さいので、大きな差が出ることはありません。
結果は意外なものでした。その特性が知られている割合と、差の大きさには関係がなかったのです。また、ほとんど知られていない特性でも安定した差が見られました。つまり、血液型による統計データの差は「自己成就現象」や「思い込み」ではなかったのです!
実際の統計データはこちらです。
[http://www010.upp.so-net.ne.jp/abofan/bias.htm]
さて、血液型による「自己成就現象」や「思い込み」が存在するなら、その人自身が下す性格判断(=性格検査)は間違っているということになります。
日本人の7割程度は「血液型と性格に関係がある」と思っていますから、論理的には日本人の7割の性格検査の結果は間違っていることになります。
この仮定が非現実的なのは明らかですから、血液型による性格の差を「自己成就現象」や「思い込み」だけで説明するのは元々無理があるのです。
統計データについて、前回の投稿に少し補足しておきます。
個別の「血液型ステレオタイプ」の質問では差が出ていたものが、それ以外の方法(例えば、ビッグファイブ)では差が出ていない、というのには別の理由もあります。「有名な特性」以外では、血液型が性格に影響する程度・方向は性別や年齢によってかなり変わるのです(データの裏付けもあります)。
ですので、異なるサンプルを「そのまま」比較すると、同じ方向の差になるとは限りません。ましてや、個別の質問を性格因子に集約するなどしたら、どんな結果が出ても不思議ではありません。
これが、多くの調査研究で一致した結果が出ない理由です。

最後に、5節にある査読者の反応についてです。

血液型と性格を研究している人はかなり限られるので、査定者が誰なのかはある推測できてしまいます。例えば、第二査定者はほぼ間違いなくW氏でしょう。

彼(彼女ではない)は正直な人ですから「しかし、この論文は(仮に正しいとしても)現在の●●が掲載を認めるものではないと思われる。(●●は学会名)」(p106)と述べています。
また、「血液型性格学」に対する態度として「心理学者は決して感情で否定しているわけではない。むしろ感情では肯定しているが論理として(あるいは職業倫理として)否定している心理学者が多いように見受けられる(代表的な方は大村政男先生)」(p107)ともあります。
しかし、彼なら統計的に差があることは十分に理解しているはずです。ですので、学会の重鎮としてあえて「タブー」に触れることはない、つまり「君子危うきに近寄らず」なのかなとも読めます。そういう意味では、現在の政治課題である「岩盤規制」に通じるものがあるのでしょう。

ですので、p111「今後、関連説を検討するのであれば、否定論者らの領域を侵害せずに、最初から別の道を歩むのが現実的であろう」には全く同感です。

では具体的にどうするか、というと現実的に難しいのも事実です。
まずは、この掲示板で問題提起をするのも一つの行き方かと思うので、ここに駄文を弄している次第です。お手数をかけますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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ssfs

理科の探検のニセ科学特集は読まれました? 長崎大でマイナスイオンについてトンデモ授業をしでかした長島氏が、仕事場を文教大に変えて今度は血液型性格診断をやり玉に挙げています。たぶん、ろくな出来ではないでしょう。この特集、なんとマイナスイオンにまったく触れていません。彼らもついに批判をあきらめたんだとほっとするやら、さびしいやら。
by ssfs (2015-03-03 23:13) 

ABOFAN

情報ありがとうございます。早速入手して読んでみました。
マイナスイオン批判は、現在ではかなり低調なのではないでしょうか?
そういえば、今日のイトーヨーカ堂のチラシに「マイナスイオンドライヤー」が目玉商品として載っていました。(笑)
血液型の内容も、10年以上時計の針が止まっている感じで、トホホの内容です。否定派の心理学者さえ苦笑しているのかもしれません。
特に酷いのが、長崎大の講義の資料を読むと誤差の計算が見事に間違っていることです。彼によると、なぜか誤差が標準偏差と等しいそうで(?)、更にその標準偏差(二項分布)の計算も間違っているという…実にトンデモな内容です。大学の先生なら、大学の教養課程で教える統計ぐらいはマスターしておいてほしいですね。学生から文句が出なかったのかな?
だから、「疑似科学批判」はみんなから馬鹿にされるんですよね。
by ABOFAN (2015-03-04 23:44) 

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