小塩真司さん 性格を科学する心理学のはなし(続き) [新刊情報]
以前に紹介だけしてそのままになっていましたが、
[http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2011-10-20]
とりあえず、血液型のところだけ読んでみました。
不思議なことに、統計的な否定の根拠が、どうやら“消滅”してしまった(?)ようです。
この本は、血液型と性格を否定するために、わざわざ1章(終章 血液型から性格を判断できないのはなぜか?)を割いて説明しています。
終章は147ページからあるのですが、いくら読んでみても、(私には)否定の根拠が不明でした。
特に、以前2冊の著書にあった統計的な分析は、見事に“消滅”してしまった(?)ようです。
理由は不明ですが、何か都合が悪いことでもあったのでしょうか?
更に奇妙なことに、この本では、否定の根拠を探してはいけないような感じ(?)の記述も見受けられます。
ときどき、「心理学では血液型と性格の関係を調べないのですか?」ときかれることがあります。しかし現在は、直接的に遺伝子と性格との関連すら調べることができるようになっているのです。なぜ今さら、血液型との関連を調べなければならないのでしょうか?(152ページ)「なぜ今さら、血液型との関連を調べなければならないのでしょうか?」とまで言いきってしまうとは…。
調べると、なにかマズいこと(関係がある?)でもあるんでしょうかね?
これまた不思議なことに、今までは全く逆でした。
以前の2冊の著書では、きちんとした論文、そしてその統計的な根拠を示して否定しています。
ということで、念のため、この本から削除された部分(?)を引用しておきますね。
まず、1年前の『はじめて学ぶパーソナリティ心理学』では、
第9章 あなたは人を分類しているか(1)その根拠として、
――血液型性格判断の歴史
2.血液型性格判断の復活
(2) 実際にデータをとると
1970年代に再び血液型性格判断が世の中に広まったことから、心理学者たちも、実際にデータをとって関連が本当に存在するかどうかを検討するようになりました。科学的な態度というものがどのようなものであるべきかについては、すでに述べたとおりです。多くの研究者が納得できる方法で、たしかな関連がくり返し一貫して観察されるようであれば、その関連を多くの研究者が認めるようになります。しかし、血液型とパーソナリティ(性格・気質)との関連については、それがうまくいきませんでしたし、現在でもうまくいっているとは言えない状況にあります。(152ページ)
1991年に発表された松井豊さんの論文
2002年に発表されたクレーマーとイマイケの論文
2005年に発表されたウーらの論文
が挙げられています。
読めばわかるとおり、これらの論文は「統計的に差がない」、という結論になっています。
この否定の根拠は、基本的に以前の著書『あなたとわたしはどう違う?』でも同じといっていいでしょう。
この本では、1991年の松井さんの論文をベースに否定しています。
ところが、最近の(日本の)心理学の論文を読んでみると気がつくはずですが、実際にデータをとってみると「統計的な差がある」という内容が主流です。
心理学の定説が180度変わった!(結論2009年版)
[http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2009-10-25]
坂元章さん 統計的に差があると明確に結論付けている心理学論文(ただし英語)
[http://abofan.blog.so-net.ne.jp/2011-08-22]
そういう意味では、『はじめて学ぶパーソナリティ心理学』『あなたとわたしはどう違う?』の「統計的に差がない」という内容は否定される(?)ことになります。
ひょっとして、統計の話が見事に“消滅”してしまった(?)のは、そういう理由なのでしょうか?
ちなみに、ublftboさんの反応を知りたいので、トラックバックを送ってみました。
すこぶる良書――『はじめて学ぶ パーソナリティ心理学』
[http://d.hatena.ne.jp/ublftbo/20111227/p1]
小塩真司『性格を科学する心理学のはなし ――血液型性格判断に別れを告げよう』
[http://d.hatena.ne.jp/ublftbo/20111228/p1]
早川さんとABO FANさん
[http://d.hatena.ne.jp/ublftbo/20111228/p2]
2012-01-12 22:06
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